Archive for the Category ◊ 紀行文 ◊

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• 金曜日, 1月 21st, 2011

平成20年4月から「特定健診・保健指導事業」がはじまる。

今回は「ヘルスアップ事業」であるから、運動や食事の教室を何回か実施した。しかし、「特定」では【教室=30~50人】はない。いや、オプションで実行してもかまわないが、ポイント制となる「特定」では、どのくらいの市町村が実施するだろうか?

特に「動機づけ」は面接1回(20~30分)とメール(支援レター)2回ほどでよいことになっている(ポイントが取れる)。それで4ヶ月も続くだろうか?行動変容ができるだろうか?

最近「特定」以外のポピュレーションアプローチの必要性を強く感じている。たくさんの人を対象にして、一人でも多くの方が参加できる【プログラム】の実現。

「ヘルスアップ事業」を展開しながら、仲間づくり、新しい人との出会い、教室の楽しさ、地域の再発見。【人間】の喜びがとても大切であるように感じた。

誰でもが、一回限りの生命を生き生きと元気で、楽しく生きたいのだ。そのためには健康が一番である。そう自覚すれば、何をしなければならないか、正しい知識と実践法を身につけて、自分の健康は自分でつくり、守らねばならない。

福知山市のみなさん、これからも頑張りましょう!

JR福知山駅から特急に乗って、京都へと向かった。

京都まで管理栄養士の島田さん、梨木さん、田中さんと同行した。女性三人と同乗すると華やぎがある。風景を眺めながら、世間話に花を咲かせるが、どうしても仕事の話へと話題が移ってしまう。日本人の習性か。

「何が一番むずかしいでしょうか?」と私。
「やはり人間性を深めることでしょうね」と島田さん。
「まだ若いから専門の知識はあっても生きている厚みが違うからむずかしいね」と私。
「特定では教室がないと盛り上がりますかね?」と島田さん。
「う~ん、どういう流れができるかよりも、これ、と信じる方法を広めるしかないね」と私。
「面接だけでは、とにかく不安」と梨木さん。

風景が人の貌のように現れては、消えていく。暦をめくるように、春はもう目の前にある。時計の針は休みなく動いている。

日が長くなった。窓の外は夕日に染まっている。福知山市が記憶の底に沈むように隠れてしまった。

またいつか、桜の咲くころにお城にのぼって、「あ~あ」と背伸びをしながら、絵本でみた大江山の酒呑童子を山の彼方に、時の彼方に眺めながら、春の風に吹かれて、ぼんやりと、ひととき、心を遊ばせたいものだ。

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• 金曜日, 1月 21st, 2011

血圧は場所、時間、環境、状況によって、かくも変動するものだろうか?

1時から受付がはじまった。

講義室は体育館に入って右手にある。廊下を奥まで歩くと、バレーボールやバスケットボールが二組もできるほどの大きなアリーナがある。

寒い。光の当たる野外では春の陽気だと感じていたが、室内に入ると寒気が残っていて、ひんやりとしている。営業担当の内田君が「二月の閉講式ではふるえあがりました」と強調する。

受付。体重測定。腹囲計測。血圧測定と順番に測ってもらう。車で来た人、自転車で来た人、誰もが口をそろえて「血圧が高い。自宅ではこうではなかった」と言う。

測定する機器が違ったり、早足で来たり、人前でドキドキしたり、環境が違うせいもあるのだろう。

井上澄先生(運動指導士)の講習会がはじまった。井上先生の経歴が変わっている。大阪音大卒。声楽のプロである。運動は?中学、高校と剣道をしていた。

介護予防のイスを使った運動(筋トレ)も得意だ。大都市、大阪を離れて、現在徳島の山の中の村に移住している。

姿勢をよくする筋力アップの体操から、肩こり予防の体操へと、誰でもが自宅でできる【運動】の指導である。
「少し寒いけど脱ぎます」
全員、シーンとする。脱ぐ?もちろん裸になる訳ではない。トレーナーを脱いだ。

向こうむきになった先生の背中、筋肉が付いて見事だ。一同から「きれい、先生」とため息がもれる。鍛えあげられた素敵なボディーだ。

三人の管理栄養士さんたちも、うらやましいなと井上澄先生の全身に熱い視線を流している。

姿勢を正すだけで身長が1~3センチ伸びるのだ。椅子に座って、お尻をキューとしめるだけで、背筋も伸びる。

いかに歩く姿勢、座る姿勢が大事かということを学んだ。そのためには少し筋力をつけなければならない。

大阪弁まじりの楽しい講習会、アッという間。1時間。休憩10分。

今度はグループに分かれての栄養指導。管理栄養士さんたちの出番だ。

チーフの島田さん、梨木さん、田中さん、それぞれ6~8人の参加者を集めて、テーブルを囲み、自分の目標がどの程度達成されたか、発表してもらう。

体重が減った、腰痛が消えた、肩こりが治った、便秘がなくなった、野菜から食べると満腹感がある、酒を一日やめた。まあ、いろいろな発表があるたびに、拍手。拍手。
「では、どうして減ったか、なぜ治ったか、自分が成功したコツをみなさんに教えてあげてください」
「とにかく毎日歩かんと、気持ちが悪いのよ」
「それは習慣化ができたことですね」
「今までは何も考えずに食べてたな」
「電子レンジは便利や。野菜がたくさん食べられる」

にぎやかである。次々に質問が出る。栄養士さんたちも真剣勝負だ。相当の力業である。知識と経験がものをいう世界だ。

やはり、グループ・仲間づくりは、一人で実行するよりも効果が出るわけだ。

成功すると、人は発表したがるものだ。【舞台】が人を育ててくれる。腕のいい、笑顔の栄養士さんたちにも感謝。

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• 金曜日, 1月 21st, 2011

平成19年度、福知山市では「元気!アップ教室 しっかりスリムコース」と銘打って「ヘルスアップ事業」にチャレンジした(京都府ではニ市町村)。

今年度は平成20年度からはじまる「特定保健指導事業」を見据えての特定プレ事業ともなった。前年のヘルスアップの内容とは大きな変更があった。

「メタボリックシンドローム」の改善が一番の目標、目的である。内臓脂肪を減らして生活習慣病を防ごうという意図である。

お腹周りが男性85センチメートル、女性90センチという数値は、毎日の生活でも会話の中に飛び交うようになっている。
「あなたメタボ?」「いやいや大丈夫ですよ?!」
「食べすぎ、呑みすぎ、運動不足かも?」
「まだ煙草は喫っていますか?」
「血圧は高くないですか?」

福知山市の計画は
①開講式(メタボについて講演会)
②一人30分程度の個別面接
③運動の実践と栄養の教室
④一人30分程度の個別面接
⑤閉講式(結果発表と講習会)
⑥フォローアップ教室

10月23日(火)から翌年3月11日(火)までの長い長い事業だった。健診の結果、メタボだと判断された人から30人の希望者を募った。

さいわい、実力ある先生方が、参加者のみなさんを楽しく、面白く、魅力のある講義・実技で、指導してくださった。好評だった。

問題点はいろいろとある。
①受診率をどうやってアップさせるか
②参加者(希望者)が増える手法の開発
③継続させるプログラムの開発
④効果をあげる手法の開発
⑤リバウンドさせないためのノウハウ
⑥服薬者(とても多い)の対策

せっかく6ヶ月後にいい結果がでたのに、【事業】が終ってしまうと、元の生活習慣に戻り、一年後の健診でリバウンドしていたら、力が抜けてしまう。

今回のフォローアップ事業は、リバウンドしないための教室である。

会場は、由良川のほとりにあった

福知山市民体育館である。由良川の土手の下に円いドーム型の建物がある。その体育館の傍らには野球場があって、高校生が練習に汗を流している。

目が合うと「こんにちは」と大きな声で、見知らぬ男にも挨拶してくれるのがうれしい。そうそう、人は礼儀からはじまるのですよ。殺人や若者たちの非行がマスコミをにぎわしているが、こんなにマナーを守って、たった一球の白いボールをネコのように追いかけている者もいるのだなと妙に感心した。

由良川には緑をつけはじめた灌木があり、竹林があり、犬をつれた散歩者もいて、鶯までホーホケキョと鳴いていた。

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• 金曜日, 1月 21st, 2011

京都府の福知山市での「ヘルスアップ事業」。フォローアップ教室を取材する旅となった。

はじめて訪問する、見知らぬ街だから、前日から気分がそわそわして、まるで遠足に行く少年か、ゴルフ前夜のような、期待と不安が入り交じった興奮状態にあった。

夜、地図をひろげてみた。

「福知山」市は京都市の北西に位置し、いわゆる丹波と呼ばれている地方にある。平成の大合併で、福知山市、三和町、夜久野町、大江町が一緒になった市で、人口は約8万2000人だ。中核の都市である。

京都駅から特急なら一時間半もあれば着く距離にある。南に兵庫の丹波篠山があり、北上すると「天橋立」のある丹波の宮津市、日本海に面した豊岡市(兵庫県)、西に兵庫県の朝来市がある。

3月11日(火)、私は営業担当の内田君と、車で明石市を8時に発った。気温はすでに4月の陽気だ。阪神高速7号北神戸線を走った。曇り空。舞鶴若狭道に入る。

トンネルを抜け、人家が消えると、低い山脈が左右に続いている。

霧が出てきた。山脈がゆっくりと白い霧に覆われて、沈んでいき、遠方は何も見えなくなった。山の中である。

10時。パーキングで休憩をとった。観光用の看板があった。もう一度、丹波地方の地図を頭にたたきこんで、現在地を確認した。

福知山市に入ったあたりで霧が消えて、青空に太陽が輝いた。町の全貌が光の中にひろがりはじめた。

「天橋立」まで48キロとある。左右に工場が現れた。製薬会社のものだった。左手にお城が見えた。堀がある。白壁が眩しい。町の中心に、お城が見事に建っている。城のある街には昔の香りが漂い、風情がある。

福知山市役所は、お城とは目と鼻の先である。今田保健師さんと、ヘルスアップ事業担当の小林さんにごあいさつ。フォローアップ教室までには、まだたっぷりと時間があるので、内田君と歩いて街を散策することにした。

もちろん目的は、お城「福知山城」である。

福知山市は盆地である。四方は山に囲まれていて、市の中心にお城がある。お城に登ってみた。坂道の傾斜が身体には快く、時計回りにゆっくりと歩く。語らいながら歩くと、街が眼下に現れる。その光景に気分は爽快。由良川が光っている。

人間の胴体ほどもある、桜の大木が坂道に何本も黒々とした幹を陽光に染めている。惜しむらくは、桜はまだ蕾で、硬く、尖った米粒ほどの芽をいっぱいに着けていた。

満開の桜の花を目の中で想像して、幻の花を咲かせてみた。眼下に風に吹き流された花びらでも散れば、まさにお城と桜で一幅の絵画になるだろうと思われた。お城は、戦国時代の武将、かの明智光秀が治めたものだと、看板にある。

そばに豊盤井という井戸がある。深さ50メートルとあって、深くて底が見えない。羊歯が茂っていて、金網が張ってある。眺望すると春霞が山々に漂っていて、四方八方うららかな春の気配に満ち、街は静かに、山際へと伸びている。

いい天気だった。

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

岬町のヘルスアップ事業は2年目に入る。今年は前期30名、後期30名にわけて、糖尿病の予備軍、メタボリックシンドロームに該当する人たちに集まってもらった。

今日は、管理栄養士の吉田先生の最終講義である。もちろん、テーマは“生活習慣病”の予防に役立つ食生活の知恵である。

身体測定(お腹周りなど)と血液検査が行われた。国保の課長、係長、職員の方々、当社のスタッフ、採血のスタッフと、閉講式はいつもながら支援する運営員も大忙しである。

コレステロール、ナトリウムと食塩の話から血糖値(ヘモグロビンA1c)について、今までの4カ月間に学んだおさらいをする。そして、(メタボ)に対するクイズで参加者の知識を確認する。

さて、グループワークである。

お腹周りが3cm減った、5cm減ったと、改善率によって3つのグループにわかれて、(1)良かったこと (2)これからの目標 (3)講師や事業に対する要望などを話し合ってもらった。

賑やかである。大人でも、目的を達成できると、子供のようにうれしい顔で語るものだ。

個人別の発表もある。

(1)意識が変化したという人が多い。なんとなく食べていた、なんとなく歩いていたという人たちの意識が大きく変化していた。
(2)体脂肪の減少も多かったが、中にはウエスト(お腹周り)が11cmも減った人がいた。
(3)歩くことが習慣化していた。
(4)“食いだおれ”の大阪の人は食べる、呑むのが大好きだ。しかし、間食の量が確実に減っていた。

表彰式があった。改善率1位、2位、3位の方々の体験談は、実にうれしいものだった。

拍手、拍手である。

筋トレ、ウオーキングから生きがいづくりまで、予想以上に成果がひろがっていた。

最後に国保の課長、係長から事業の総括があった。目的は、ほぼ達成でき、その効果にも満足だが、実は“岬町全体”をみれば、大変厳しい現実があった。

大阪府の市町村や関連団体は、約50くらいある。その市町村での医療費や疾病のデータが発表されたのだ。

糖尿病、高血圧、高脂血症を年齢別、男女別に“岬町”の順位を読み上げる。

ワースト1あり、ワースト3あり…実にワースト10に入っているのがほとんどだ。
“岬町”全体が健康で、元気な町になるには、昨年、今年の事業と、その成果を町中にひろげていかなくてはならない。

幸い19年度も“ヘルスアップ事業”が実施される。その内容は20年から全国ではじまる“特定健診・保健指導事業”となる。参加者が体験をもとにして、町中に健康づくりの輪をひろげてもらいたいものである。

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

3月9日、今日は「ヘルスアップ事業」の最終日、“元気いきいきみさきセミナー”の閉講式である。和歌山市駅から南海電車で3駅、みさき公園駅まで約10分。大阪難波までは50分もあれば着く。

なだらかな牛の背のように低い山脈が続いている。岬町は、農村部がその山脈のあちこちに点在し、海辺には中心街と、漁師町が伸びている。

海洋には淡路島があり、関西空港がある。昔はフェリーが淡路へ、四国へと、海の道を走っていたと言う。

タクシーで“岬町”をひと廻りしてもらった。なだらかな山の斜面から海にかけて、民家が点在する。みさき公園から役場までは、5分もあれば着いてしまう距離だ。電車の支線も、深日町駅、深日港駅、多奈川駅と伸びている。

町役場で挨拶をすまして、観光用のカタログや資料をもらった。すぐ、目の前が深日港だ。漁船の停泊する港を眺める。潮の匂いが漂い、いかにも漁港の風景である。

大阪湾に添って海岸の道を走り、みさき公園のイルカショーが行われる場所まで足をのばした。

もちろん、朝早くてイルカの姿はない。

海の見える遊園地には、観光灯台がある。たくさんの動物たちがいる「動物ふれあい広場」は、土日、祝日には家族連れの“いこいの地”だろう。

車をUターンさせてもらって、今度は「岬町健康ふれあいセンター」へと向かった。

見晴らしのいい丘の頂きに、その施設はあった。プールやアスレチック、フィットネスの設備とともに“ゆう湯う”というお風呂まであるのだ。高齢者や子供たちの集いの場となっているのだろう。談話ができて、プールやお風呂で水に親しめ、心のやすらぎのもてる“ピアッツァ5”である。心身ともにリラックスのできる、自然のなかの施設となっている。

山の手には和泉式部ゆかりの地があったり、ほたるの飛び交う里があったり、逢帰ダムまであるのだが、今日は残念ながら立ち寄る時間がない。

駆け足で岬町を廻ってみたが、夏の海水浴の季節や新緑や桜の美しいときには、もっと別の貌をみせてくれるのだろうと、頭の中で想像してみた。

さて、保健センターでの“元気いきいきみさきセミナー”の閉講式がはじまる時間だ。会場は、関西電力多奈川第二発電所の隣にある。(つづく)

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

日が長くなった。

5時3分発の特急に乗って、大阪の街を出ると、西の空に膨張した真赤な太陽が輝いていた。

【新宮】は実になつかしい名前だ。和歌山県、新宮市出身の作家、中上健次が出世作「岬」は芥川賞を受賞した力作である。東京の阿佐ヶ谷で、ひと晩、酒を呑み交わしたことがあった。芥川賞受賞後だったので、意気軒高であった。「一緒に文芸雑誌を出さないか」と誘ったが、今は時の人で、多忙を極め、話は立ち消えてしまった。

カラオケに立ち寄った。中上健次は、都はるみの『北の宿』を、声量のある野太い声で、楽しそうに歌ってみせた。

その中上健次は、ガンで死んでしまった。

「俺をドスで刺せるのは重田だけだよ。お前の文章はね、そういう文章だよ」
中上はニヤっと笑ってみせた。
「しかし、俺なんか何十回書き直しをされたかわからない。お前は、重田、それを避けてんだろ」
酒と議論とカラミは、物書きの常だった。

“岬”が中上健次で、中上が岬だ。

左手に低い山脈が続き、関西空港の建物群が大阪湾に屹立している。西の空は、夕焼けから白みはじめ、ゆっくりと闇が巣喰いはじめた。

和歌山市に宿をとった。いつも、ホテルの近くにある酒場に足を運ぶ。店の名前は“黒潮”である。徳島県日和佐町出身の主人と奥さん、息子が迎えてくれる。

一年に一度来る、まるで七夕だが、きちんと客の顔は覚えていて、まるで毎週通っているみたいな顔で、新鮮な魚を食べ、焼酎を飲む。

酒場に座って一杯呑むと、不意に別の時空に滑り込んでしまい、仕事の顔から、別の顔になってしまう。その瞬間がなんともいえない。どこでもない場所を浮遊している感覚につつまれる。

「本当に、地球がどうにかなってしまうほど変な気候やね」若いマスターが挨拶代わりに話しかけてくる。
「狂いはじめてるよ、ね、どこも」
「明日は、どちらへ」
「隣の岬町で、仕事があってね」
「大阪ですか?」
「峠ひとつ越えてね」
「それが、えらいちがいなんですわ」
「やっぱりね」
「県境って、不思議な場所だよね」と私。
「泉州弁ですから」
「岸和田、河内長野、泉佐野、阪南市、そして岬町、微妙にちがうよね」
「和歌山は、また、まったく別の土地ですわ」

そうかも知れないと、方言・語尾のちがいや気質のちがいを教わった。

どこへ行っても、立ち直れぬ景気の話になる。人間は死ぬまで動いて、動いて、働いて、働いて、生きていくようにできている。働いているうちが花か!?(つづく)

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

“岬”と聞いただけで、心地よい風が全身を吹き抜けていく、爽やかなイメージをもつ人が多いのではないか。青空があり、天空に太陽が輝き、おびただしい波が眩しいばかりに海原で踊っている。潮風は陸にむけて吹き渡ってくる。海にむけて突出した半島に“岬”はある。

海にむけて力強くせりだした力の象徴が“岬”である。海へとむかう陸の意思が半島を形造っているふうにも思える。

そして、大きな力がせめぎ合い、力のバランスが崩れて勝ったところが“岬”となり、負けたところが入江や港となる。

私には、そういうふうに思えて仕方がない。“岬”は陸の力をもっとも誇示した場所である。

今回、私が訪問したのは、大阪府の南に位置する“岬町”である。

日本は島国であり、いたるところに半島があり、岬がある。男鹿半島、房総半島、伊豆半島、室戸岬、足摺岬、えりも岬、潮岬。

日本に“岬”と名のつくところが、どのくらいあるだろうか?

しかし、私も全国を廻って歩いているが、町名に“岬”がつく市町村は2つしか知らない。千葉県は房総半島にある“岬町(みさきまち)”と、今回訪れた紀伊半島・大阪湾に面した“岬町(みさきちょう)”である。“町”の読み方がちがうのだ。

大阪府の岬町は、和歌山県と接している県境の町である。峠ひとつで紀州の国となる。言葉も、峠ひとつ超えると変わってしまう。

もちろん、海の町である。人口は18,915人。世帯数は7,779。阪南市と和歌山市に挟まれた町だ。

今回が2回目の訪問となる。「ヘルスアップ事業」も2年目に入った。

東京発14時13分発の「のぞみ」に乗る。3月8日だというのに、コートもいらないくらいに温かくて、桜の花が一斉に咲き誇ってもおかしくない。狂い咲くのは、桜花か人間かと思えるほどに、世相が病んでいる。

あれやこれやと、頭の中心に浮かんでは消えていく日々のよしなごとを、車窓を眺めながら車体の振動に身を任せ、西へ、西へ、新大阪へと「のぞみ」は疾走する。

旅の空に、見果てぬ夢のプランを描いては、消えてしまう。

新大阪から、地下鉄で難波へ行き、南海電車で50分も走れば、みさき公園・和歌山市駅に着く。

偶然「特急・スーパー黒潮」新宮行きがあった。(つづく)

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

19年度の特定<プレ>事業【ヘルスアップ事業】は、当初の目標を達成して成功したと、スタッフのほぼ全員が思っている。

しかし問題は、20年度から始まる実際の【特定事業】である。【ヘルスアップ事業】の参加者は、全国どこで実施しても、圧倒的に女性の参加者が多い。本番では男性が大半を占める(該当者)。

もうひとつ大きな問題がある。【ヘルスアップ事業】では、運動教室、食生活改善教室、メタボ予防の講談会などを、数多く実施した。

ところが【特定事業】の“動機づけ支援”では面接が1回限りである。専門スタッフ(保健師、管理栄養士、運動指導士)の誰もが、口をそろえて「たった1回の面接指導で、どれだけの結果がでるのか、本当に不安だ」と言う。

いわゆる「教室」や「講習会」や「講演会」では、みんなで楽しく実技ができる。仲間づくりができる、家庭へひろげられる地域づくりができる。

そこで絶対に欠かせないとねと言うのが【ポピュレーションアプローチ】である。

誰でもが参加できる「メタボ予防教室」や「講演会」である。年に何回か開催できれば、隣、近所で声を掛け合って、活動の輪を、広く、地域にPRする機会にもなる。今後は、全国で【ポピュレーションアプローチ】が必要だ、という声があがるだろう。

実施率を高めるためにも、中高年の男性が参加してくれる環境づくりをすすめなければならない。

とにもかくにも、広く、1人でも多くの方が自由に参加できる【ポピュレーションアプローチ】を実施して、家庭で、地域で、職場で、“仲間づくり”、“健康づくり”の輪をひろげていかねばならない。

君津市の参加者のみなさんに感謝。

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

君津市は、全国から集った人たちがつくった都市型の街と、昔からそこに住んでいる故郷型の町が共存している市だ。

市役所はJR君津駅から歩いても4〜5分のところにある。【ヘルスアップ事業】の会場は、市役所から徒歩2〜3分の「保健福祉センター」で実施された。

保健福祉部健康管理課の仕事は多岐にわたっている。がん検診、健康診査から、献血、予防接種、各種健康相談などである。

19年度の【ヘルスアップ事業】は20年度からはじまる【特定健診・保健指導事業】のプレ事業に内容が変更されたために、計画づくりから実施体制、実行に至るまでに、難易度が高くなった。

対象者の選定から、動機づけ支援、技術的支援の階層化など、そしてポイント制のプログラムづくりまで、スタッフにとってはじめての経験で、責任の重い仕事が続いた。

プログラムは
(1)積極的支援【しっかりスリムコース】 参加者56人
(2)動機づけ支援【らくらくコース】 参加者88人

【しっかりスリムコース】では、実績のある、一流の先生方をお招きした。個人面談は保健師、管理栄養士が担当。

開講式は古田裕子先生。
運動教室の大津桂子先生。
小林佳代子先生。
食生活改善のオーソリティー杉本恵子先生。
糖尿病を運動療法で治療する権威、藤沼宏彰先生。

豪華なメンバーで数多くの教室、講義、講座をひらいた。もちろん参加者の方々も大満足であったと思う。ポイント数は、相当なものである。

【らくらくコース】は開講式、閉講式に加えて、3つの講座にしぼった。

古田先生の「メタボリックシンドローム」
杉本先生の「食生活改善講座」
藤沼先生の「糖尿病と運動」である。

○効果、結果について
目標(1) 2キロ以上の体重減 23人(52%)
目標(2) 3.0cm以上の腹囲減少 22名(50%)

食生活の目標達成率が8割に対して運動は7割と少ない。理由は「時間がなかった」である。食後はこの効果がどのくらい習慣化できて、持続できるかということにかかっている。

フォローアップ体制が必要だ。