Archive for the Category ◊ 大阪府 ◊

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

岬町のヘルスアップ事業は2年目に入る。今年は前期30名、後期30名にわけて、糖尿病の予備軍、メタボリックシンドロームに該当する人たちに集まってもらった。

今日は、管理栄養士の吉田先生の最終講義である。もちろん、テーマは“生活習慣病”の予防に役立つ食生活の知恵である。

身体測定(お腹周りなど)と血液検査が行われた。国保の課長、係長、職員の方々、当社のスタッフ、採血のスタッフと、閉講式はいつもながら支援する運営員も大忙しである。

コレステロール、ナトリウムと食塩の話から血糖値(ヘモグロビンA1c)について、今までの4カ月間に学んだおさらいをする。そして、(メタボ)に対するクイズで参加者の知識を確認する。

さて、グループワークである。

お腹周りが3cm減った、5cm減ったと、改善率によって3つのグループにわかれて、(1)良かったこと (2)これからの目標 (3)講師や事業に対する要望などを話し合ってもらった。

賑やかである。大人でも、目的を達成できると、子供のようにうれしい顔で語るものだ。

個人別の発表もある。

(1)意識が変化したという人が多い。なんとなく食べていた、なんとなく歩いていたという人たちの意識が大きく変化していた。
(2)体脂肪の減少も多かったが、中にはウエスト(お腹周り)が11cmも減った人がいた。
(3)歩くことが習慣化していた。
(4)“食いだおれ”の大阪の人は食べる、呑むのが大好きだ。しかし、間食の量が確実に減っていた。

表彰式があった。改善率1位、2位、3位の方々の体験談は、実にうれしいものだった。

拍手、拍手である。

筋トレ、ウオーキングから生きがいづくりまで、予想以上に成果がひろがっていた。

最後に国保の課長、係長から事業の総括があった。目的は、ほぼ達成でき、その効果にも満足だが、実は“岬町全体”をみれば、大変厳しい現実があった。

大阪府の市町村や関連団体は、約50くらいある。その市町村での医療費や疾病のデータが発表されたのだ。

糖尿病、高血圧、高脂血症を年齢別、男女別に“岬町”の順位を読み上げる。

ワースト1あり、ワースト3あり…実にワースト10に入っているのがほとんどだ。
“岬町”全体が健康で、元気な町になるには、昨年、今年の事業と、その成果を町中にひろげていかなくてはならない。

幸い19年度も“ヘルスアップ事業”が実施される。その内容は20年から全国ではじまる“特定健診・保健指導事業”となる。参加者が体験をもとにして、町中に健康づくりの輪をひろげてもらいたいものである。

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

3月9日、今日は「ヘルスアップ事業」の最終日、“元気いきいきみさきセミナー”の閉講式である。和歌山市駅から南海電車で3駅、みさき公園駅まで約10分。大阪難波までは50分もあれば着く。

なだらかな牛の背のように低い山脈が続いている。岬町は、農村部がその山脈のあちこちに点在し、海辺には中心街と、漁師町が伸びている。

海洋には淡路島があり、関西空港がある。昔はフェリーが淡路へ、四国へと、海の道を走っていたと言う。

タクシーで“岬町”をひと廻りしてもらった。なだらかな山の斜面から海にかけて、民家が点在する。みさき公園から役場までは、5分もあれば着いてしまう距離だ。電車の支線も、深日町駅、深日港駅、多奈川駅と伸びている。

町役場で挨拶をすまして、観光用のカタログや資料をもらった。すぐ、目の前が深日港だ。漁船の停泊する港を眺める。潮の匂いが漂い、いかにも漁港の風景である。

大阪湾に添って海岸の道を走り、みさき公園のイルカショーが行われる場所まで足をのばした。

もちろん、朝早くてイルカの姿はない。

海の見える遊園地には、観光灯台がある。たくさんの動物たちがいる「動物ふれあい広場」は、土日、祝日には家族連れの“いこいの地”だろう。

車をUターンさせてもらって、今度は「岬町健康ふれあいセンター」へと向かった。

見晴らしのいい丘の頂きに、その施設はあった。プールやアスレチック、フィットネスの設備とともに“ゆう湯う”というお風呂まであるのだ。高齢者や子供たちの集いの場となっているのだろう。談話ができて、プールやお風呂で水に親しめ、心のやすらぎのもてる“ピアッツァ5”である。心身ともにリラックスのできる、自然のなかの施設となっている。

山の手には和泉式部ゆかりの地があったり、ほたるの飛び交う里があったり、逢帰ダムまであるのだが、今日は残念ながら立ち寄る時間がない。

駆け足で岬町を廻ってみたが、夏の海水浴の季節や新緑や桜の美しいときには、もっと別の貌をみせてくれるのだろうと、頭の中で想像してみた。

さて、保健センターでの“元気いきいきみさきセミナー”の閉講式がはじまる時間だ。会場は、関西電力多奈川第二発電所の隣にある。(つづく)

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

日が長くなった。

5時3分発の特急に乗って、大阪の街を出ると、西の空に膨張した真赤な太陽が輝いていた。

【新宮】は実になつかしい名前だ。和歌山県、新宮市出身の作家、中上健次が出世作「岬」は芥川賞を受賞した力作である。東京の阿佐ヶ谷で、ひと晩、酒を呑み交わしたことがあった。芥川賞受賞後だったので、意気軒高であった。「一緒に文芸雑誌を出さないか」と誘ったが、今は時の人で、多忙を極め、話は立ち消えてしまった。

カラオケに立ち寄った。中上健次は、都はるみの『北の宿』を、声量のある野太い声で、楽しそうに歌ってみせた。

その中上健次は、ガンで死んでしまった。

「俺をドスで刺せるのは重田だけだよ。お前の文章はね、そういう文章だよ」
中上はニヤっと笑ってみせた。
「しかし、俺なんか何十回書き直しをされたかわからない。お前は、重田、それを避けてんだろ」
酒と議論とカラミは、物書きの常だった。

“岬”が中上健次で、中上が岬だ。

左手に低い山脈が続き、関西空港の建物群が大阪湾に屹立している。西の空は、夕焼けから白みはじめ、ゆっくりと闇が巣喰いはじめた。

和歌山市に宿をとった。いつも、ホテルの近くにある酒場に足を運ぶ。店の名前は“黒潮”である。徳島県日和佐町出身の主人と奥さん、息子が迎えてくれる。

一年に一度来る、まるで七夕だが、きちんと客の顔は覚えていて、まるで毎週通っているみたいな顔で、新鮮な魚を食べ、焼酎を飲む。

酒場に座って一杯呑むと、不意に別の時空に滑り込んでしまい、仕事の顔から、別の顔になってしまう。その瞬間がなんともいえない。どこでもない場所を浮遊している感覚につつまれる。

「本当に、地球がどうにかなってしまうほど変な気候やね」若いマスターが挨拶代わりに話しかけてくる。
「狂いはじめてるよ、ね、どこも」
「明日は、どちらへ」
「隣の岬町で、仕事があってね」
「大阪ですか?」
「峠ひとつ越えてね」
「それが、えらいちがいなんですわ」
「やっぱりね」
「県境って、不思議な場所だよね」と私。
「泉州弁ですから」
「岸和田、河内長野、泉佐野、阪南市、そして岬町、微妙にちがうよね」
「和歌山は、また、まったく別の土地ですわ」

そうかも知れないと、方言・語尾のちがいや気質のちがいを教わった。

どこへ行っても、立ち直れぬ景気の話になる。人間は死ぬまで動いて、動いて、働いて、働いて、生きていくようにできている。働いているうちが花か!?(つづく)

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• 火曜日, 11月 04th, 2008

“岬”と聞いただけで、心地よい風が全身を吹き抜けていく、爽やかなイメージをもつ人が多いのではないか。青空があり、天空に太陽が輝き、おびただしい波が眩しいばかりに海原で踊っている。潮風は陸にむけて吹き渡ってくる。海にむけて突出した半島に“岬”はある。

海にむけて力強くせりだした力の象徴が“岬”である。海へとむかう陸の意思が半島を形造っているふうにも思える。

そして、大きな力がせめぎ合い、力のバランスが崩れて勝ったところが“岬”となり、負けたところが入江や港となる。

私には、そういうふうに思えて仕方がない。“岬”は陸の力をもっとも誇示した場所である。

今回、私が訪問したのは、大阪府の南に位置する“岬町”である。

日本は島国であり、いたるところに半島があり、岬がある。男鹿半島、房総半島、伊豆半島、室戸岬、足摺岬、えりも岬、潮岬。

日本に“岬”と名のつくところが、どのくらいあるだろうか?

しかし、私も全国を廻って歩いているが、町名に“岬”がつく市町村は2つしか知らない。千葉県は房総半島にある“岬町(みさきまち)”と、今回訪れた紀伊半島・大阪湾に面した“岬町(みさきちょう)”である。“町”の読み方がちがうのだ。

大阪府の岬町は、和歌山県と接している県境の町である。峠ひとつで紀州の国となる。言葉も、峠ひとつ超えると変わってしまう。

もちろん、海の町である。人口は18,915人。世帯数は7,779。阪南市と和歌山市に挟まれた町だ。

今回が2回目の訪問となる。「ヘルスアップ事業」も2年目に入った。

東京発14時13分発の「のぞみ」に乗る。3月8日だというのに、コートもいらないくらいに温かくて、桜の花が一斉に咲き誇ってもおかしくない。狂い咲くのは、桜花か人間かと思えるほどに、世相が病んでいる。

あれやこれやと、頭の中心に浮かんでは消えていく日々のよしなごとを、車窓を眺めながら車体の振動に身を任せ、西へ、西へ、新大阪へと「のぞみ」は疾走する。

旅の空に、見果てぬ夢のプランを描いては、消えてしまう。

新大阪から、地下鉄で難波へ行き、南海電車で50分も走れば、みさき公園・和歌山市駅に着く。

偶然「特急・スーパー黒潮」新宮行きがあった。(つづく)