血圧は場所、時間、環境、状況によって、かくも変動するものだろうか?
1時から受付がはじまった。
講義室は体育館に入って右手にある。廊下を奥まで歩くと、バレーボールやバスケットボールが二組もできるほどの大きなアリーナがある。
寒い。光の当たる野外では春の陽気だと感じていたが、室内に入ると寒気が残っていて、ひんやりとしている。営業担当の内田君が「二月の閉講式ではふるえあがりました」と強調する。
受付。体重測定。腹囲計測。血圧測定と順番に測ってもらう。車で来た人、自転車で来た人、誰もが口をそろえて「血圧が高い。自宅ではこうではなかった」と言う。
測定する機器が違ったり、早足で来たり、人前でドキドキしたり、環境が違うせいもあるのだろう。
井上澄先生(運動指導士)の講習会がはじまった。井上先生の経歴が変わっている。大阪音大卒。声楽のプロである。運動は?中学、高校と剣道をしていた。
介護予防のイスを使った運動(筋トレ)も得意だ。大都市、大阪を離れて、現在徳島の山の中の村に移住している。
姿勢をよくする筋力アップの体操から、肩こり予防の体操へと、誰でもが自宅でできる【運動】の指導である。
「少し寒いけど脱ぎます」
全員、シーンとする。脱ぐ?もちろん裸になる訳ではない。トレーナーを脱いだ。
向こうむきになった先生の背中、筋肉が付いて見事だ。一同から「きれい、先生」とため息がもれる。鍛えあげられた素敵なボディーだ。
三人の管理栄養士さんたちも、うらやましいなと井上澄先生の全身に熱い視線を流している。
姿勢を正すだけで身長が1~3センチ伸びるのだ。椅子に座って、お尻をキューとしめるだけで、背筋も伸びる。
いかに歩く姿勢、座る姿勢が大事かということを学んだ。そのためには少し筋力をつけなければならない。
大阪弁まじりの楽しい講習会、アッという間。1時間。休憩10分。
今度はグループに分かれての栄養指導。管理栄養士さんたちの出番だ。
チーフの島田さん、梨木さん、田中さん、それぞれ6~8人の参加者を集めて、テーブルを囲み、自分の目標がどの程度達成されたか、発表してもらう。
体重が減った、腰痛が消えた、肩こりが治った、便秘がなくなった、野菜から食べると満腹感がある、酒を一日やめた。まあ、いろいろな発表があるたびに、拍手。拍手。
「では、どうして減ったか、なぜ治ったか、自分が成功したコツをみなさんに教えてあげてください」
「とにかく毎日歩かんと、気持ちが悪いのよ」
「それは習慣化ができたことですね」
「今までは何も考えずに食べてたな」
「電子レンジは便利や。野菜がたくさん食べられる」
にぎやかである。次々に質問が出る。栄養士さんたちも真剣勝負だ。相当の力業である。知識と経験がものをいう世界だ。
やはり、グループ・仲間づくりは、一人で実行するよりも効果が出るわけだ。
成功すると、人は発表したがるものだ。【舞台】が人を育ててくれる。腕のいい、笑顔の栄養士さんたちにも感謝。