3451. (私)から、どれだけ離れて生きるか、それが問題だ。もちろん(私)を消し去るに越したことはないが。(無私)
3452. (生)の達人には、どうやら(私)がない。達意の文章にも(私)がない。コトバだけが、存在している。
3453. 最高の文体は(私)を消し去ったものである、ただ、意識だけが呟いている。コトバの宇宙である。
3454. 誰が生きているのか(死んでいるのか)何が生きているのか(死んでいるのか)見定めようとしても無理だ。
3455. あれかこれか断言できた時は、まだ、ニンゲンは、ゆるやかに生きていた。今は、あれかこれかとさえ問えない時代である。書かれたものの一番はじめにあったコトバまで冥い。
3456. (私)は、私が考える以上のものである。ゆえに、私などに固執してはいけない。
3457. (木)は、木を生きている。(木)は、いつも見ている木以上のものだ。
3458. (私)を考える、と、私以上のもので(私)は構成されているのがわかる。
3459. 閑かに、静かに生きて(私)の中へ。(私)は、私以上の宇宙であるから。
3460. ヒトは、見えないものを畏れて、不安になり、パニックを起こしてしまう。放射能・3.11の。新型コロナウイルス。そして、ココロ。
3461. 狂う、破綻する、その一歩手前で立ち止まれ。
3462. (他人の死)ばかりが見えていた。新型コロナウイルスは(私の死)を直接、見せてくれる。ゆえにヒトは恐怖に捕らわれる。
3463. (私)があるのではなく(書く)作品の中で(私)が作られていく(バタイコ)のコトバ。
3464. (私)には、完全に作品を作る力はない。書かされている中から、(私)が出現して、作品を作らせられるのだ。
3465. (私)に来るコトバを、(私)自身は、制禦できない。
3466. 意識が考えるよりも、はるかに多くのものが勝手に(私)に来ている。
3467. だから(私)を開いていおいていつでも、来たものを、できるだけ正確に、コトバに変えるだけだ。ゆえに、作品は作家を超えてしまう。
3468. ニンゲンは、全員、刷り込まれたコトバで生きる。どんな天才でも。
3469. 白紙はあらゆるコトバを吸収する。子供は、誰でも、白紙から出発する。しかし、妙な大人が、手を入れる。で、子供のココロは、歪んで、死んでしまい、普通の大人になってしまう。
3470. 世間の人になる。社会の人になる。地球の人になる。もっと、もっと、もっと、宇宙そのものを呼吸できたのに。
3471. 子供のココロには、誰でも、ビッグ・クエッションが発生する。ニンゲンは、なぜ死ぬの?宇宙はどうして誕生したの?(私って何なの?)そして、いつもまにか、ビッグ・クエッションは、忘れ去られて、封印されて、子供のココロから消えてしまう。普通の大人になる。
3472. 脳の記憶よりも、生きている(私)の記憶はもっと大きく深い。他人の、私の記憶など断片である。
3473. (考える)は決して抽象ではない。意識にとっては、いつも具体的なものである。だから(考える)は(生きる)そのもののことである。
3474. わからないことだらけだから、ニンゲンは、(考える)。(生きる)も(死ぬ)も、わかる訳がないから。
3475. 「色は色じゃないんだ!!」アラカワ(荒川修作)のコトバは、実に、禅的である。極彩色の「三鷹天命反転住宅」を創ったアラカワである。
3476. 何が難しい?(私)を、いつまでも、開けっぱなしにしておくことだ。存在の自由度。知識や習慣を学習して、常識を身につけると、あとは(仕事)ニンゲンになって、生きてしまう。つまり、(私)という存在を閉ざしてしまう。開けておけ、開けておけ、(私)を!!
3477. いつまでも、危機の斜面に(私)を立たせ続けること。新しい(私)は、その中から起ちあがる。
3478. 普通の、平凡な日常の中にも無数の危機の斜面がある。見方、考え方、五感の使い方、意識のあり方で、それがわかる。
3479. 新型コロナウイルスのパンデミックは、ニンゲンをパニックに陥落させた!!(他人の死)が直接(私の死)に変化したから。
3480. 狂いもせず、破綻もせず、どうやら古希まで生きてきた。それだけで、もう、大変な道程。充分である。あれやこれやは、言うに足りない。
3481. (私)が私と、正しく関係を結ばねば、ニンゲンとしては生きてゆけない。怪物になる。
3482. 漂流する夜から、朝の時の岸辺に打ちあげられた(私)を発見する時の、あの感触、「今日も一日、生きてゆける。」生きられる時間を手に入れた。
3483. 社会に生きる(私)、世間に生きる(私)、セイカツである。しかし、セイカツする(私)は、存在者としての(私)の、ほんの一部である。もっと、全的に(私)を生きろよ!!(仕事)が(私)だなんて、つまらない。
3484. 一分一秒の休みもなく、絶えず(私)を(今)へと吹きあげているエネルギーがある。エントロピーと呼んでもよい。
3485. (私)は(今)という岸辺の縁りで、呼吸している。何時(今)から滑る落ちるかもわからない。まあ、ひとときのことだ。我慢あるのみ。
3486. いくら考えても、よくわからない(私)の(今)である。水から泡が吹きでるように(今)へと勝手に解き放たれた。不条理だと怒ってみてもはじまらぬ。
3487. で(ここ)はどこだ?(私)は誰だ?と疑っても、闇から闇への問いである。食べて、歩いて、働いて、寝て、一日のニンゲンのリズムに身を任せている。空虚をかかえたまま。魂のリズムだけがある。
3488. 宇宙地図には(私)がいない!!なぜ?(私)という視点は、私の内側にしかないから。誰か、何かが、外からの視点で作った地図の中に(私)は入れない。
3489. (今)も(ここ)も、(私)を抜きには考えられない。(私)のいない(今)も(ここ)も、実は、存在しない。
3490. ゆえに(存在)とは、(関係)の中にしかない。
3491. (私)が地図である。そんな(存在)は、果たして、可能であろうか?
3492. (私)をマッピングする。その(私)は、瞬間に(私)の外になる。
3493. (私)のいる場所、(私)のいる時間、それは、宇宙のどこでもない。決定できないから。
3494. 前(過去)とは後(未来)が。「ある出来事がほかの出来事の前でありながら後でもあり得る」(カルロ・ロヴェッリ)過去は未来で、未来は過去
3495. 過去=過ぎ去ったものも(今)に参入できる。未来=まだ来ぬものも(今)に参入できる。
3496. 一歩を踏み出すためには、未来が見えていなければできない。
3497. 思い出すためには、過去を(今)へと連れ戻さなければ思えない。
3498. 過去も未来も(私)の中で入り混じって、ひとつの現象になる。区別はない。ただ想うものだ。
3499. ニンゲンの、眼も、思考も、五感も、実に”粗い” その”粗い”眼で見て、”粗い”思考で考えて、生きねばならぬ。辛いことだ。
3500. 見えないものばかりがあふれている。一歩先のセイカツも。宇宙も。しかし、透視する。見者になる。