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• 火曜日, 11月 04th, 2008

私の頭の中には、一昨年読んだ徳島新聞のトップ記事との強烈なキャッチフレーズが貼りついたままだった。なぜ、こんなことになったのだろうか?一昨年、JR徳島駅で、上京の際に買った新聞には<徳島県の糖尿病の死亡率。13年連続ワーストワン>とあった。覚えているだろうか? 昔、秋田県が脳卒中の死亡率が全国ワースト1(ワン)だった。もちろん、秋田は雪国である。運動不足になるほど冬は長く、雪は深い。新鮮な野菜が少ない。漬けものを食べる。寒いから塩っぱいものを好む。酒が美味い。呑みすぎる。家庭でも、食堂でも、味が濃い。いわば、雪国の食生活と習慣が生みだした病気だった。秋田県では、小学生からの食生活を変え、教育の場から、街での味まで気を配って、脳卒中での死亡を防ぎ、ワースト1の汚名を返上した。予防教室を徹底した。では、気候は温暖で、冬でも新鮮な野菜があり、味も薄味で、都市のような通勤地獄もない。いわば恵まれた風土で、なぜ糖尿病死亡率・全国ワースト1の県になるのか?

 私たちの少年の頃は、糖尿病は少なくて、「あれはお金持ちで、贅沢な生活をしている人がなる病気や」と大人が語っていた。

徳島大学の田中先生の講義と実技は、私の疑問に見事に答えてくれる、有意義で楽しい教室だった。

田中先生は、糖尿病のメカニズムを説明した後で、徳島県の現状分析を試み、病気の原因を指し示した。

スクリーンに2枚の写真。
 ①車だらけで、渋滞している風景
 ②歩いている人の群れる風景
どちらが東京で、どちらが徳島でしょうか?

①が徳島、②が東京だった。
 
 1日の平均歩数(他都府県との比較)
 徳島県人…6200歩
 長野県人…8600歩
 大阪府人…8500歩
 
東京都人…8300歩
 全国平均…7200歩

 肥満率
 徳島県…ワースト3
 青森県…ワースト2
 沖縄県…ワースト1
ちなみに、高知県はワースト15
      香川県はワースト14
      愛媛県はワースト13である。

つまり、歩数は肥満率に正比例している。糖尿病で、現在最も話題になっているのは、急上昇している沖縄県である。

「今日は車ですか? 自転車ですか? 歩きですか?」ほぼ全員が、今日、会場には車で来ていたのだ。

四国には、四国八十八ヶ所を廻る、お遍路さんという立派な風習があり、全国から歩き遍路が集っている。お遍路さんは1日平均4〜5万歩は歩いている。昔は隣の町へは、歩いて行ったものだと、田中先生は語る。

徳島県・阿波市もまた、山形県の河北町同様、まったくの車社会に変貌していたのだ。

徳島県の標語

 「徳島県、動かんケン
   このままじゃいかんケン」
1に運動、2に食事、しっかり禁煙 最後に薬

阿波市は、糖尿病死亡率がおそろしく高い。
全国平均を100とすると
県内男性143
県内女性135
阿波市男性167
阿波市女性194となっている。
  (徳島新聞発表)(つづく)

Category: 紀行文, 徳島県
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