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• 水曜日, 4月 21st, 2010
701. アフォリズムはヴィジョンである。透明な橋を架ける力だ。
702. 昔の人は、よく歩いた。読んだ書物は、次から次へと消えていくが、歩いた足の裏が知っている大地の声とリズムは、不思議と消えないものだ。(現場)が何よりも大事である。
703. いくら考えてもわからないことが、時がたつと、時そのものが教えてくれる。だから、”時”に身をゆだねている。
704. 考えようとするから、わからない。生きようとすれば、わかってくる。
705. いつまでたっても”時”が皆目わからない。発生も消滅も顕現も。モノの時、イノチの時。
706. もっと読みたい、もっと、ムイシュキンと歩きたい、もっと一緒にいたい。合体した魂が、そう叫び続ける。それが、最高の読書だ。読むことが、そのまま生きることになってくる。
707. なぜ、人は、なつかしいという感覚で、モノとヒトを眺められるのだろう。会うこと。別れること。
708. 「またふたたび」という感覚と、「もう二度と」という感覚が、同じ、一人のヒンゲンの中に生じる不思議。
709. 生きることは、(私)を創造した宇宙への返礼である。
710. もう、アレ、コレと考えない。ただ(私)に顕れるものをそのまま記しているだけだ。
711. ここにいるのは誰だ?まさか、幽霊ではあるまいと、宇宙に問いかけると、もっと見ろ、もっと考えろと風が吹いているだけ。何も応えずに。
712. 去るもの、来るもの、通過している(私)は、いつも、(今・ここ)に立ちつくしている。
713. 蛙の鳴く声が、桜の散る空間に響いてくる。妙に狂おしい。春である。
714. もっと、もっと、どこまでも降りていって一番深いところまで。何が見えた?何がわかった?
715. 歩くことが、老いの計りになる。
716. 一人で生きるよりも、二人で生きる方が生き易い。第一、自然である。対のセイカツ。♀と♂。そして・・・。
717. 薄い膜だけが、ニンゲンの、(私)の生きる器である。
718. 何もかもが溶解していく。傷ついて、破れて、壊れて。芯よ起て!!
719. 巨木の生きる姿に、ニンゲンは圧倒されるばかりだ。
720. どんな仕事であれ、とりあえず、自分は仕事をしているという感覚があれば、大丈夫。空虚には呑み込まれない。
721. 何もすることがないと、心は、蛸になって我が身を喰いつくしてしまう。
722. もう、モノを、直接見るだけでは、コトが足りない。それも、ひとつの在り方にすぎないから。
723. 生きものたちは、それぞれ、自らが生きるために必要な形態を持つに至る。不思議だ。
724. 老衰死。病死。事故死。自殺死。他殺死。餓死。戦死。心中死。脳死。処刑死。切腹。狂死。大量殺人死(ジェノサイト)・・・。あ~あ。ニンゲンの死は、一回限りで、ひとつなのに。
725. 芸術は、どこかに”狂”の一滴を注入しなければ輝かない。小説も同じことだ。
726. 空を眺めすぎると(私)が消えてしまう。
727. 身。身体。体。躰。軀。漢字は、他の言語よりも面白い。何よりも、形がものを言う。
728. 「本」を読む。「文章」を読む。昔は、「知」を知ることが面白くて、意味、内容ばかりを探った。今では、何かを自由に思わせてくれる文章が面白い。だから、読まずに、凝っと眺めている。視線に長く耐えられる文章がいい。大半の文章は、眺めていると、崩れ壊れてしまう。
729. 光るものを「光」と命名しても仕方がない。「大日如来」と古人は呼んだ。おそらく、それは、正しい。「1」も、そのように、成立するしかないか?
730. 空海も、南方熊楠も、岡潔も、天才と呼ばれる人たちは「大日如来」を信じた。
731. 死ぬ時には、光の中へと飛び込むのだ。「大日如来」の中へ。横超。
732. 「1。光。大日如来。宇宙。」わかっているのに、わからないものばかりである。
733. 在るものでも、わかりかたをわからないと、まったくそのもの自体がわからない。しかし、信じるか!!
734. 「自然」という暗号を読み解くだけで、ニンゲンは、30億年を費してしまった。
735. 宇宙自体が、自らを記憶しているとすれば、ニンゲンも、大きなものに、記憶されている。
736. 知り得たものの量は、雨の一滴で、それでも、ニンゲンとして生きてゆかねばならぬ。無明。暗愚。
737. 宇宙には、「1」そのものは、存在しない。そんな声が脳裡に響いたので(私)は、無視して、歩き続けた。「1」をめぐる無限を思いながら。
738. (私)の外へと超出すること。
739. 身体が重い、身体が軽いと感じる時のあの微妙な感触、(私)は、(私)という器、入れもの、を思い浮かべている。しかし、まだ、(私)は、その、重い、軽いの膜を知らない。
740. 他人の声に、他人の存在に、誘い出されて響く(私)がいる。モノに、コトに、ニンゲンに誘発されてこそ、共に生きる意味がある。
741. 単独者の(私)という存在、長い間、そう考えていたが、(私)は、どうやら、あらゆるものの、集合した、ひとつの統合体かもしれぬ。だから、分裂していて、解体される。
742. 話をしながら、テレビを観る。点のことばかりを考えながら三角形を思い描く。同時に、二つのこと、三つ以上のことを実行する能力。ニンゲンは、考え得ることは、すべて、可能にしていく生きものかもしれない。(聖徳太子の未来)
743. 「もう、死んだように生きておるよ」と友は、淋し気に笑っているが、活躍の場が消えても、(私)という場は、残っているのだから、(私)という宇宙を歩いてみればいい。
744. 「あらわるモノ・コトは、考えられる対象として存在する。考える、起点は、どこにでも、ごろごろと転がっておる。
745. 見るということは、ひとつの見方である。
746. (私)が存在として顕現した以上、自分自身の存在くらいは、証明してやろうと思うのは、当然の欲望である。何代かかっても、ニンゲンは、宇宙に口を割らしてやれと思い続けるだろう。(沈黙する宇宙への質問状を作ってでも)
747. (声)が来たと言う。神からの(声)が来たと言う。ニンゲンの耳にとどいた(声)は、果たして、宇宙から来たものか?(神は、宇宙ではない)(声の正体は?)(光?)
748. 光は、声にもなる。共感覚があれば。
749. 闇から闇へは赦さない。果たして、誰にものを言っているのか?
750. 眼を閉じても、開いていても、いつも、額の前方に、何かがある。(私)の身体ではないのに、それは、いつも(私)と一緒に存在する。何?
751. 思考には、いくつも層があって、一歩一歩その層をステップしている。
752. ほとんどの「不満」は、自分が、自分自身に対して抱いているイメージよりも、他人が自分に対して抱いてくれるイメージが、劣っているという理由にある。もっと、(私)を見てよ。もっと(私)を知ってよ、もっと(私)の価値を認めてよと、叫んでいるのだ。あ~あ。ぷーふい。
753. 「どうも、(私)はないみたいだ」と言うから「まるで、幽霊じゃないか」と応えると「君に僕が見えるのか」と叫んだ。
754. (ただの人)になってからが、勝負である。衣裳をすべて脱ぎ棄てて、自分自身の貌を、じっくると覗き込んでみる。
755. 生きることは、どうやら、だんだんと、ニンゲンになっていくことである。形姿は、求めたように、現れるから。無数の貌。
756. あらゆる情報を集めて考えてみるか、ひとつのものを、じっくりと、何年も眺めて考えてみるか、(総合者と単独者の眼)
757. 本能半分。学習半分。
758. 生命が進化したとして、生命の系統樹を考える時、一つの単細胞に達するのか、あるいは、単細胞の群れへと達するのか、そこに<1>という数の魔がいるような気がする。
759. 同じように、俺たちの「宇宙」のビッグ・バンは、たったひとつの大爆発であったのか、複数の、多数のビッグ・バンがあったのか?証明もできない問いは、問いですらないのか!!
760. 地に、足をつけて、明日は、郵便局へ行こう。何を送りに?何を伝えに?
761. 歩けるうちには、歩こう。それ以外に、することがあるのか?
762. ニンゲンから(仕事)を取りあげてしまうと、自ら、長い間、放っておいた(私)に立ち向かわなければならない。で、突然、(私)が牙をむく。誰だ、お前は?必死になって、(私)を耕してみるしか他に術はないのだ。
763. なぜ、数があるのか、誰も証明できない。1が証明できないという。(私)とは何かがわからないはずだ。
764. 宇宙に、純粋な(1)として存在しているものなどあるのだろうか?私は知らない。数は深淵だ。足をとられると畏ろしい。
765. 私は、一人のニンゲンであるが、(1)ではない。一本の木は、木としてあるが(1)ではない。
766. 素朴に、自然を見て、在ると思える平凡な領域で生きていると、(自然)が、本当に、あるかどうか証明できぬと唸っている大数学者、自然科学者たちは・・・。知らぬが仏か?
767. ニンゲンは、あまりにも、素直に、(在る)ことを見るために、眼と脳のシステムに委ねすぎているのだろうか?(在る)ように見えると考えたのは、実は、ひとつの見方にしかすぎなった。見方が、ちがうと(在る)は、見えなくもなってしまう。(在る)か(無い)かは、わからなくなる−と、木も石も自然も存在するかどうか、本当は、わからなくなる。
768. 純朴な(1)は、宇宙のどこにも、発見できない。だから、人類の(知)は、まだ(1)を証明できない。6000年の文明とは、その程度のものである。もちろん(私)とは何かを問い続けても、わかるわけがない。
769. 自然の中を、どこを探しても(1)はない。しかし、人は、一枚の葉とか、一個の石とか、一本の木とか、どこかに(1)を探したがる。見る、意識する、どこまで追求しても、結局、自然の中には(1)がない。(ない)ということだけがわかってくる。どだい、(数)は、なぜ、現れたのだろう。(数)とは何か?
770. 木を見る。自然を見る。見えるように見ている。で、その、見えるようにが、崩れてしまうと(自然)は自然ではなくなってしまう。すると(見る)ということも、実は、アテにならない。テレビ画面の接続不良のように、(自然)に点と線が走って、画像が、見えなくなる。(自然)が、そのように崩れてしまう。それでは、(見)ている自然は、在るとも無いともいえなくなる。
771. 考えていては、アフォリズムは書けない。向う側から来るのを待つのだ。五感を解き放って。
772. (私)は、もちろん、宇宙人である。(私)が顕現した理由は、宇宙を知悉するためである。
773. (在る)から(居る)への移行が、宇宙での最高の変革であった。
774. 「小説」を書こうと意識した瞬間から、「物語」の「虚」が、作者の脳裡を掠める。だから、「小説」の文章とエッセイの文章は、まったくちがってしまう。
775. 何もない、実に、頼りないところから、筆(ペン)をすすめると、不思議なことに、小説の文章はのびやかになる。そこに、小説の上質な部分が現れる。いわば、腕の見せどころである。(考える)ことが光る。
776. 文体は思考の回路である。
777. 私たちが居ることは、どうやら、そんなに確かなことでないかもしれない。幽霊のような存在が、(私)の耳許でそう呟いた。眼の前の自然が消えた。1でもあり、2でもある。数でないかもしれない。
778. 存在(モノ)も形も色彩も、見る・見られるという関係をすりぬけると、虚へと移行する。
779. 蛇が自分の尻尾を咥えるようにして1が1を呑みこむことができるのだろうか?
780. 宇宙に生きることは、(1)を探す旅であるかもしれない。
781. (私)とは、途中で、放り出されてしまった存在の名前だろうか。
782. 光の光源を、呼びようがなくて、「大日如来」と云ったのは、おそらく正しいかもしれない。
783. 不思議なことに、物書き(作家)は、その言葉が潔くなればなるほど、死が近くなって、自死に至る。村上一郎、三島由紀夫、石原吉郎。
784. 30億年かかって、生きてきた(私)であるから、自殺は、実にもったいない。
785. いい読み手がいなければ、いい書き手は育たない。読むことと、書くことは、共同作業である。
786. 天皇、エンペラーの問題は、30億年の生命史の中に位置づければ、その姿がよく見えてくる。現実は、人は、たかだか、100年、1000年の単位で考えるから、その姿を見誤ってしまう。
787. 母から生まれてきたが、母の母、そのまた母と考えて、グレートマザーに思いを至すと、30億年も生みつづけている姿に、感動すら覚える。
788. 精神が、もっとも深いところに達すると、それが、そのまま、外部に存在するものに通底してしまう。
789. 外在した脳がスパークする時、いったい、何が起こっているのか、と思うほどの、陶酔の時が来る。
790. 「40年」もサラリーマンをしてくると、会社から放り出された時、どこにむかって、何をしていいのか、まったく見当がつかぬ」と友人が真顔で語った。「誰かに、命令してほしい」とも。
791. 誰でも、自分の(場所)と(役割)が欲しいのだ。
792. 会社生活で忘れていたものは(私)である。停年になると、その(私)が、姿を出して、お前はいったい、何をしてきたのだ、お前はいったい何者だと、怪物のように、突然、牙をむくのだ。
793. 働いてきた(私)は、存在としての(私)よりも小さいのに、(仕事=私)と考えたがる錯覚。
794. 何もかも、狂的な世界であるのに、平気で生きているニンゲン。
795. 訳もわからぬまま、透明な膜の中に突入して、一歩も、歩けぬ時期がある。
796. 日も、月も、季節も、遠くなったり、近くなったり。色彩までちがって見える。
797. 一日に、一度、ひとつは、ものを考えること。
798. 意識もなく、モノに、コトに気分が悪くなって、嘔吐を催す時がある。世界と上手く握手が出来ない。ユーウツな日。
799. 春、三月、空がすみれ色になる。光が変わった。気が昂ぶって、歩いてみたくなった。光の誘惑。
800. 時間をもて余す人、時間が足りない人。やれやれ、自由というものは、やっかいだ。
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