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• 水曜日, 4月 21st, 2010

1. 「コーラン」上・中・下(岩波文庫刊) 井筒俊彦訳
2. 「悪の華」(岩波文庫刊) ボードレール 堀口大学訳
3. 「巴里の憂鬱」(岩波文庫刊)ボードレール 堀口大学訳
4. 「他力」(講談社文庫刊) 五木寛之著
5. 「風に吹かれて」(角川文庫刊) 五木寛之著
6. 「小説修業」(中公文庫刊) 保坂和志 小島信夫共著
7. 「ミドルワールド」(紀伊国屋書房刊) マーク・ホウ著
8. 「烏有比譚」(講談社刊) 円城塔著
9. 「後藤さんのこと」(早川書房刊) 円城塔著
10. 「金子光晴」(筑摩書房刊) 金子光晴著
11. 「細雪」上・中・下(新潮文庫刊) 谷崎潤一郎著
12. 「詩片集素描」(土曜美術社出版販売) 山野井悌二著
13. 「高野聖」(角川文庫刊) 泉鏡花著
14. 「寓話」(プロジェクトK発行) 小島信夫著
15. 「金融狂荒」(文芸社刊) 相馬尚文著
16. 「暗渠の宿」(新潮文庫) 西村賢太著
17. 「OUT」上・下(講談社文庫刊) 桐野夏生著
18. 「柔らかな頬」上・下(文春文庫刊) 桐野夏生著
19. 「グロテスク」上・下(文春文庫刊) 桐野夏生著
20. 「残虐記」(新潮文庫刊) 桐野夏生著

はじめて、円城塔の小説を読む。
安部公房の直系の作家が登場した。いったい、これが小説と呼べるだろうか?と思えるほど、新しい作家である。
本文よりも、注釈の方が多かったり、骨と皮だけであって、あとは、理論が統一している作品。
理系の作家らしく、実に論理的である。もう一滴そこに血が流れると、実に、面白い作家になる。
安部公房は、ひらがなのつかい方が、上手い作家だった。論理に、肉感性があった。
円城塔は、分野も無視して疾走する。純文学、SF、小説、エッセイ、文章までも、破壊してしまうかもしれない。

ボードレールや金子光晴や泉鏡花や谷崎潤一郎を再読する。青春時代に読んだ本を、60歳を過ぎて読み直してみる。なるほど、そのように、生きたのかと、感慨が深い。

「寓話」は、保坂和志氏が、師と仰ぐ作家、小島信夫の小説である。絶版になった小説を、個人が、復刊するという、困難な仕事に挑戦した保坂和志氏には、エールを送りたい。
この傑作は、ゆっくりと時間をかけて読みたい。

車谷長吉に続く「私小説」作家が誕生した。西村賢太だ。
なぜか、現在、「私小説」を読むと、ホッと安心する。古風だからではない。もっとも、現代的である。
人間が、頭で組み立てた小説には、どこか、薄ら寒い風が吹いているから、「私小説」に現れるニンゲンの形姿が、技巧、戦略を通り超して、(知)以上のものを表出してくれる−その姿が眼にやさしい。

「風に吹かれて」エッセイが時代そのものだった。
五木寛之の金字塔は、小説「青春の門」である。その五木寛之が、満を持して、小説「親鸞」を書いた。熟読した。大先輩に対して、礼を失する訳にもいくまい。じっくりと、再読して、論じてみたい。なぜ、現在、宗教であるのか?

Category: 読書日記
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