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• 土曜日, 2月 04th, 2012
2201. アフォリズムは、(私)の言葉考でもある。小説、評論、論文の散文、短歌、俳句、散文詩の言葉、メタ言語、純粋言語、禅の不立文字、あるいは、ダブル・バインドからくる禅問答の言葉、数学者の人工言語、マラルメの言う絶対言語、そして、天才、井筒俊彦の言う、最強のコトバ、自心の源底に至る真言である。アフォリズムで、それらの言葉を、疾走してみたいのだ。あらゆる存在と非在の死者たちと交感するコトバへ。
2202. コトバとは、その人の位置と場、位相が決定をする。
2203. 3.11からの日が経つにつれて、不幸と苦痛の種類が増えて、だんだんと複雑になって、分化されていく。それが一番辛いのだ。体育館に避難していた時には、みんなが、同じ不幸であったのに。
2204. 被災者と被災者が衝突をする。傷の深さ、被災の大小、住む場所、条件が、衝突の因となる。
2205. 無我で、無私で、(私)を(他人)を支えていた心が、日常を取り戻すために、崩れていくのは、なんとも、耐えがたい。
2206. 自立とは、そんなにも、セルフを中心に、起ち上がらねばならないものか。
2207. 今日も、一日、(私)をしている。
2208. あちこちで、ぷつぷつ切断されている、しかし、流れは、深いところで(私)を貫いている。
2209. 今日も、(私)をしている。そう、気がつくことは、いいことである。
2210. 今日も(いのち)をしている(私)である。行け、とにかく、歩け。
2211. 何かの拍子に、どこからともなく、音が流れてくる。ふと、耳を澄ますと、消えてしまう。誰だ?何のサインだ?
2212. 寂静とでも呼ぶのだろうか、心的エネルギーが、零に近くなって、身体の感覚が消えて無辺の時空に、(私)が放り出されている。
2213. 嬰児でもない、老人でもない、まるで、齢というものが、ぽっかりと、抜けてしまった(私)がいる。
2214. コトバが崩れているのでもない。あまりにも、規則通りのコトバが多いのだ。だから(私)が話している、という、固有のコトバに出合わなくなっている。
2215. 誰かのコトバ、他人のコトバ、共有している文法のコトバ、約束されたコトバ、法のコトバ、もう(私)のコトバは発見できない。
2216. 一人一人、顔がちがうのだから、コトバも、思考の回路も、固有でなければおかしい。
2217. コトバが閉じている。モノとコトを開いていくはずのコトバが、放つ人々の不手際で、だんだんと閉じていく不幸。
2218. 言霊が、いつのまにか、記号になって、呪的な、原エクリチュールの力を喪っている。
2219. 息を吐く、息を吸う、その力を、ふたたび、声に、コトバに。
2220. 3.11以降は、鎮魂のコトバしかやって来ない。来ない時には、沈黙を守る。死者たちと共に、時空を結んで。
2221. 時空に、遍在する、死者たちの叫び声が、鳴り響いて止むことがない。
2222. あの時を、観想すると、意識は、いつも、ゼロ・ポイントに陥ってしまう。心のステップは、躓いてばかりだが、とにもかくにも、歩いてみる。一歩。共に。
2223. もう、生きられる時間だけが、(私)の時間だと、諦念して、生きよう。
2224. 自然から見れば、ニンゲンは、余分なものばかり作りだして、生命の共生の環を破壊している、邪魔者であろう。
2225. (私)のいない文章がある。(私)が入ってしまうと、(知)が変色してしまう。
2226. 色は形、形は色、音は色、結局、すべては、Iへ。
2227. 当然なことに、無限は、(私)の外部にも内部にもある。なんで(私)そのものが、無限になれない訳があろうか。
2228. 染まることは、感性であり、ひとつの能力である。問題は、そこからの、(私)の一歩である。
2229. 条約、憲法、条例、道徳、倫理、規則、戒律、約束、ニンゲンは、やたら(法)を作る。作っても、作っても、破ってしまうが。いったい、どの(法)が一番大事なのか。誰と、何と契った(法)が大切なのか。
2230. 批判の声は、いつも、正しい?いや、批判する人は、いつも、正しいことを語っていると思っている。なぜ?(私)の発言する場を、正しいものと思っているからだ。
2231. しかし、他人を批判する前に、(私)の場を語ってみる。すると、(私)の場は、いつも正しいものではないと、気がつく。
2232. だから、批判よりも、ずっと、創造がむつかしいのだ。
2233. 攻撃は、誰にでも出来る。問題は、(私)のビジョンを揚げる力にある。(私)を語れ!!
2234. 3.11以後には、三つのパターンの作家が生れる。
①習慣、習性で、今まで通りの作品を書き続ける人。(開き直っている)(鈍い人)
②なんとかして、3.11に対応できる、あたらしい意識で、あたらしい方法で、あたらしい文体で、書こうと模索する人(良心派)
③完全に、沈黙する、従来の方法では、書けなくなってしまった人。(書くことへの懐疑)
2235. 白い紙に書いたコトバが他人の眼からココロに入っていく、恐ろしさと不思議。
2236. ニンゲンは、どうしても、二重に生きるように創られている。(私)の「自心の源底」へと探求する道、他人の間で、他人のために、何か役立つ道である。(聖)と(俗)は、二つにして、ひとつの貌である。
2237. 3.11以降に、生き方、考え方、文体が変わらない作家、学者、哲学者は、よほど、鈍いか、衰弱しているか、自分に不正直なニンゲンである。あるいは、もう、終ってしまった人で、昨日を、今日に重ねて、死んだように生きている、無用の人である。
2238. もらったものは、必ず、お返ししなければならない。お中元、お歳暮ばかりではない。もっと、大切なものがある。(私)は、どうやって、それを、お返ししようか。
2239. 食べもの、お金、知恵、情愛・・・数えると切りがない。さて、どうしよう。
2240. ものをもらう。ものを差しあげる。そこにあるのは、礼節である。
2241. もらったものの中で、一番大きな、大切なものは、もちろん(私)である。だから(私)も、お返ししなければならない。誰に?何処へ?
2242. それは、契約か、縁か、法則か、偶然か?
2243. 出家者と在家者は、いったい、何を交換しているのだろう?そう考える中心に、宗教の核がある。
2244. すべてがリズムだ。生命の波調を強弱と整える。今日も一日。
2245. ある時には、(私)を解き放って、ゆるめる、遊ぶ。ある時には、(私)に刺戟を与えて、緊張させる、学ぶ。
2246. (知)で生きてきた人は(身体)へ。(身体)で生きてきた人は(知)へ、チェンジする。
2247. 裏も表も使って生きる。
2248. ニンゲンをしている限り、すべてから、降りてしまう訳にもいかない。
2249. 覚めて、眠って、覚めて、眠って、誰に教わった訳でもないのに、長い間、ずっーとそうして生きてきた。覚醒、正覚は、起きている中で、更に起きることだ。次元を、もうひとつ、ジャンプすること。
2250. 気力、体力、知力、どれも、放っておけば衰えて、錆びついてしまう。磨き続ける努力だけが(私)を支える力だ。
2251. 科学の(知)が語る宇宙は、宗教の(智)が語る宇宙ではない。(信)の有無である。
2252. 歩くことと考えること、俺に残ったのはそれだけだ。そして、それで充分だ。他に何がいる?
2253. 宇宙の沈黙は、実に、徹底している。まだ、何も言わない。秘めていて。
2254. ひととき、瞬間、この惑星で生れたね、いろいろあったけど。宇宙が、一切を、水に流してくれるよ。時という水に。
2255. 気がついたら、もう、おさらばの時だ。長いような、短いような、スキン・シップだけが、唯一のリアリティだったね。コトとモノとニンゲンとの邂逅がバネになったね。
2256. 人の器量だけは、勉強しても変わらない。
2257. アフォリズムの一本一本が、それぞれの、背景に物語と思想を秘めていて、その一本一本から短篇小説が作りだせる。つまり、いくらでも、考え、想像し、眺めていられるのが、アフォリズムである。
2258. 現在、書かれている小説には(核)がない。文体が、ゆるく、思考の回路が、見えなくて、弱い。胸に迫る一行がないのだ。
2259. 宇宙に、身一点、放りだしてみれば、ニンゲンは、無数のことを考えはじめる。誰だって、すぐにできる。
2260. その覚悟がないから、身辺雑記と、おぼつかない思考で、書かれた小説ばかりが濫乱するのだ。
2261. 貌のない、無意味な、作品ばかりが、一見、小説らしく、書かれているから、読者も、驚かない、感動しない。
2262. 一度、物書きは、自らのアフォリズムを書いてみるといい。いかに、発想が貧しく、モノを、本気で考えていないかがわかる。
2263. いつでも、何度でも、あの、意識が、ゼロ・ポイントに陥った、3.11に戻ることだ。出発は、そこにしかない。共有するというニンゲンの力を信じて、(無)から、歩きはじめたのだから。
2264. 瓦礫の中にも起つコトバがいる。その為にも、我に仕事を与えよ、である。日常の、回復と再生のために。
2265. 一円でもいい、黙って、秘かに、送り続けよう、それは、死者たちへのもうひとつのコトバである。
2266. 病んでる人がいる限り、苦しんでいる人がいる限り、(私)だけが、幸せになれるわけがない。傷は、疼き続けるのだ。
2267. 人がみんな、同じように見える時には、苦痛はない。小さな、差が見えはじめた時、人の心は、不幸に染まりはじめる。どうして、(私)だけが、と。
2268. 極く普通にあった日常が、根こそぎもっていかれた。破壊された。大地震と、大津波と原発事故で。そして。今。
2269. 負と傷をかかえて、日常を、そのままとり戻すことさえ、容易ではない。
2270. 支援、援助は、いくらでも要る。延々と、東北に、エネルギーをつぎこまねば、救われない。
2271. 私の一生は、もう、余分だから、せめてその半分のエネルギーは、支援として、投資しよう。
2272. 頭の中にあった、普通に生きる、プログラムが、すべて、壊されてしまった3.11の被災者である。残ったのは、傷と、喪われたものたちの、空虚な思い出。何を、軸にして、心の芯を起たせるか、想えば、気が遠くなる道程である。凝っと、(私)の中から、もう少し、生きてみようと、力が湧いてくるのを待つしかない。
2273. (知る)というよりも(わかる)という力が不思議である。なぜ?モノがわかるという力。その力が、ニンゲンに備わっているから、宇宙に、驚愕することができる。だから、すべてを、知りたくなる。
2274. (私)の中にあるものしか、わからない。そういう仕組みをニンゲンはもっている。悲も、苦も、痛も、病もわかる。だから(私)は、他人も、宇宙もわかる。当然、(私)の中には、宇宙がある。当然(私)は他者である。
2275. (私)だけでは、すべてを、わかることができない。で(知)のリレーが生れる。肉体で。
2276. (私)の中に、よい方へと歩む力が多くあれば、ニンゲンは、戦争も紛争も、止めることができる。その力に、賭けてみるしかない。
2277. つまり、共生の、共同の、いのちの、ビジョンを、ニンゲンが、何時、完全に、創出できるかが、勝負だ。もちろん、鍵は、宇宙である。
2278. 量で、数で考える人。質で、深さで考える人。同じ、考えるにしても、まったく、結果が違ってしまう。
2279. 3.11の現場で考える人。3.11から遠く離れて考える人。距離は、思考を一変する。
2280. (場)と(位置)が、こんなにも、コトバ自体を変えてしまうとは。
2281. コトバが変わらなければ、思考は変わらない。その単純な法則がわからない人がいる。
2282. (傷)から考える人。(損得)で考える人。その必要まで変わってしまう。
2283. 断念の、底からでも、声は放たねばならない。単独者として。
2284. いのちをするのは、いつでも今だ。
2285. (私)の呼吸する場は、いつでも、(私)のいるところだが、ニンゲンは、どこにでも遍在できる。想像する生きものだから。
2286. 力(エネルギー)だけが、(私)の推進力だ。衰弱するな、枯れるな、涸渇するな。
2287. 科学の進歩が遅いから、もう、何度も、アンドロメダ銀河には行ってきたよ。何?真夜中に。
2288. 3.11から、10ヶ月が過ぎると、爪を隠していた人々が発言をはじめた。(現実)を考えると、原発は、必要だ、と。つまり、いい思いをしてきた人々、得をしてきた人々が、(現実)の必要性を、訴えるのだ。あ~あ、である。(現実)を創るのも、変えるのも(私)である。(私)ぬきの発言は、3.11以前のコトバである。傷ついた人々、身も心も。死者たちに。コトバも、祈りも、足りない日々に。もう・・・。ニンゲンは、まだ・・・。
2289. あなたは何処から来たと訊くから、(私)は、わが地球を含む無限宇宙から来たと応えた。で、これからどうすると訊くので、あるがままに、しばらくは、生きて、ニンゲンをして、終ったら、また、来た無限宇宙へと還っていくだけさ。何も、特別なことはないと応えた。
2290. 科学には、どうしても、出来ないことがある。情報が、いのちに変わること。つまり、情報がいのちになることだ。
2291. (私)が成ってしまう、(私)に。メカニズムを分析しても、(私)をつくる力にはならない。
2292. ニンゲンがやってきたことは、モノを変形させることだけだ。
2293. 単細胞は、なぜ、他の単細胞と結合したのだろう?単細胞の、内なる夢の顕現か?
2294. 書くことは、アフォリズムは、宇宙の暗号を読み、顕現させることだ。(あ、また、来た、ソレが)
2295. 物質の素も、生命の素も、コトバの素も、結局、宇宙自体の顕れである。
2296. 顕れたニンゲンが、自らの素を考える−なんとも妙な具合である。
2297. 読むとは、(私)を知ることとなる。で、(私)は、宇宙であると知るばかりだ。
2298. 来るソレを、顕しておれば、いつか、暗号の謎が、解けるかもしれないではないか。なあ、アフォリズムよ。
2299. しかし、最後には、ソレ、音信も、ニンゲンには読めぬ、未知のシンタックスであるかもしれぬ。
2300. まあ、規則もない、文法もない、異次元からの音信に、触れるだけでも、いいか。
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