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• 火曜日, 11月 04th, 2008

3月になると、毎年、NHKが富津市での潮干狩の風景をテレビで中継する。

親子連れでにぎわう浜辺は、アサリを掬(すく)う姿の向こうに、春の水のゆるみと、自然の息吹が感じられて、ホッと安心のため息をつく。季節がめぐって、暦が新しい貌(かお)を覗かせてくれる。空気までもが爽々しく爆(は)ぜているのだった。

富津市は海ノリの養殖でも有名だ。ある日のタクシーの運転手さんとの会話を想い出した。

「富津には葉の厚い木が多いね」
「アレは、ノリの養殖に使ったんだ。昔はね」と運転手。
「竹林も眼につくね」
「竹も、そう。ノリの養殖に使った」
運転手さんは続けて「現在(いま)では技術が発達して、木も竹も使わなくなった。綱が良くなったからね」と、淋し気に笑った。

その土地にあるものを利用し、工夫をして、知恵を絞って生活に使う用具は、すべて手づくりだったのだ。

富津は海ばかりではない。山の町でもある。マザー牧場は、広大な土地に富津市がつくった動植物の園である。菜の花が咲き、桜が咲き、四季の花々が牧場を彩る。馬に乗って牧場を散歩することもできる(レッスンなど)。

千葉県の高峰、鋸山は、昔、江戸に石材を伐り出した山である。今でも鋭く、切り立った岩肌が垂直の壁のように、木々の間に見受けられる。素晴らしい眺めだ。

1度、鋸山に登ったことがある。太平洋へと続く内海(東京湾)が銀色に、金色に輝く無数の光を放っていて、光の乱反射が水を、海面を沸騰させて、異次元に迷い込んだような、不思議な感覚に襲われたことがあった。

さて、平成18年、富津市では「ヘルスアップ事業」を実施した。

とにかく、富津市役所の職員には“意欲”と“熱意”がある。財政的には決して豊かな市ではない。厳しい財政ではあるが、国や県の補助金を利用して、少しでも住民のためになればと、挑戦する姿勢には、いつも頭が下がる。

身を粉にして、住民に応えるという素晴らしい伝統がある。新しい事業に取り組む、進取の精神が培われてきたのだろう。

保健師さんたち、管理栄養士さんたち、そして国保の職員のみなさん方と共同で、【事業】を支援させていただいた。

メタボリックシンドロームや生活習慣病が気になる人たちに集まってもっらい、「健康指導教室」を開いた。

Category: 紀行文, 千葉県
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