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• 火曜日, 11月 04th, 2008

さて富津市は、昭和46年に富津町、大佐和町、天羽(あまは)町が合併して誕生した市である。人口は約5万人。町が合併してできた市の特徴として、市街地が点在し、いわゆる中心というものが、形成されていない。

緑の中に田園あり、畑あり、道があり、点在する人家があり、JRの駅の周辺に、旧(ふる)い町の商店街が集まっている。

大きな企業が、工場、スーパーがあるにはあるのだが、緑と水の量が圧倒する。漁業、農業の一次産業に従事する人は、人口比では、さほど多くはないのだが、やっぱり、富津市のイメージは海であり、漁業であると思えるから不思議だ。

市役所は、人家から離れた小高い山の麓(ふもと)にある。鉄筋コンクリート5階建ての、重量感のある、堂々とした建築物だ。広い駐車場の前には、大きな郵便局がある。

昔は役場や市役所は町の中にあって、歩いてふらっと行ける場所にあったものだ。今は車の時代だ。市役所は郊外へと移転している。

さて、堂々とした庁舎の脇には、レストランがある。訪れた人の憩いの場だ。正面玄関を入ると、エントランスの奥に喫茶店がある。くつろぎ、語らいの場も、至れり尽くせりだ。

「ヘルスアップ事業」は、庁舎の5階にある大きな会場で行われた。

私が富津で1番好きな場所は【富津岬】である。年に何回か訪問する。時間の都合がつけば、いつも、岬へと足を運ぶ。市役所から車で約15分、歩いて約1時間。

いつも風が吹き、波が立ち、松林が揺れている。植林された松は低く、地に這いつくばり、林立している。漁師の家々が軒を並べ、民宿があり、プールがあり、潮のにおいが漂ってくる。

港には舟が停泊している。食堂がある。地魚がおいしい。貝がおいしい。潮風を切って、車を走らせる。窓を開けて海のにおいを含んだ風に当たる。身体が海のにおいに染まっていくのが快い。合宿中のマラソンランナーたちが、若い足で駆け抜けていく。

松林が切れると、一気に海が貌(かお)を出すのだ。塔か、展望台か、遠くまで眺望できる建物がある。

白い砂浜が足元にある。

いつも、不思議に思うのだが、海面が立っている。地面よりも高く感じられるのだ。なぜか? 表面張力? まるで、大きな力で海面が天に持ち上げられているみたいだ。海が、私の身体の中へと侵入してくるのだ。その、浸され、占領される気分が、たまらなく快いのだ。私は海になる。

帆を立てた舟が走る。サーファーがボードに乗って、波を待っている。風の強い日には、対岸の川崎、横浜、久里浜が見える。運が良ければ、富士山まで見えるかも。

特に夕焼けは、また、格別の光景だ。黄色い太陽が、ゆっくりと、ゆっくりと沈んでいくと、大気の加減か、黄色が朱色の燃え上がる色に変わって、何倍にも膨れあがって見える。

何も考えず波の音を聴き、風を頬(ほお)に受け、真紅の太陽を眺めている。

まさに心の休暇の一時(ひととき)である。

Category: 紀行文, 千葉県
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