Archive for ◊ 4月, 2021 ◊

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• 木曜日, 4月 22nd, 2021

「40余年ぶりに甦った詩!!新型コロナ禍に読むと、そのリアリティが倍増する詩~」


三月の光線が膨らむ季節には 私の場所がない 物は怯えながら 自らをひろげる 私は はじらいの気配に躓く心を静思し崖落下 躰を制止身悶え狂い 桜の花正視から気狂い 放たれぬまま 私は歩く 歩行が呼吸を決定する 私は時間に触れる 散る花びらを踏む 樹皮を撫でる ある夕方 時間を刻んだ 垂直に来たあのひとの眼差し貫かれ 夢の私を視る私消え 私という自然の絃川流し 眼が人殺し 歩かされ 戻らぬ私の漂流旗印し何処だ 私は確認する 物質自体と魂の裂け目背負っても自然 朝の食卓につかぬ人はない 夕から歩けば


七月の光線が割れる季節に 無数の独楽が回転する あの忌々しい一点とこの痛み一点が接合する真昼の海 砂粒の静止が破れ 水の移動が拒まれる 風の手足が千切られる 物の差異が眼にみえず分裂の境にある私の影 スピン狂い 問う形から問われる形まで展げられた迷路 その時まだ眼を閉じるな 自分を喰い尽す蛸の場所まで移動しろ 夢の中で視つづける もう一人の執拗な私 風吹く夕まで直線に歩くあのひと 静止しているのではない誘われた記憶の貼絵 起つ位置は 今 信じきる一点 辛い嘘 暗い背中の眼に睨まれた生きもの 光の暈に射しにかれる砂粒 棄て去られた廃船を支えたまま 揺れる海を貫くものを叩け 正視できぬ夏の光線を 単純な私の一歩で割れ 塩水を飲んだ私のまま 奇形の現実もあるという承認を刻め


十月の光線が縮む季節を 物は移動する 秘められた気配に犯され 私の位置が暗がりの方にずれる 抱きかかえてきた固有の法にひび割れが生じる めくれあがる一枚の皮 覗く者から隠す者まで 禁じられぬ共振れ その一瞬紅葉散る 水は流れる 何処へ 宿命のまま鳥は翔ぶ 頂点から底辺まで含み尽くたあのひとの眼に刺されて 蟻は這う 私は貼りつけられた鏡の闇から歩行する 崩れおちた隙間を狙う痛みの一歩 均質としか名付けられぬ場所で 怯み 蠢く単細胞の夢の幅 胎児から少年まで透視した地図上で 問われてみるがいい 歩きはじめた唇から 鍛えられた年齢分の網領が紡ぎだすものの暗い形 縮む光線の東のもとで物自体がおののく 私は 自然の形で 大量の水を 胃袋に与える


一月の光線が沈む季節へ 支配された私が侵入する あのひとに潰されたまま蹲っている部分 占領できぬ部屋の数が私を照らしだす 凍えた指の肌に触れるものが私 寂寥の後 笑い声の背後に立ち尽くし 視つづけている眼の死刑 その形一切が浮遊する光景風の舌舐めろ 暗がりで萎えたまま 私の芯も起て 躓いた蟻の脚が露出する裸の方式 垂直に来たあのひとを 雪の舞いで消せ 石にとまる冬の蟻を視るな 闇の奥処で息づくものは 命名すれば寂寥ばかり 底をついた米櫃に強制されたその場所を 眼を閉じて 通過する人でもあるまい 我楽多に我楽多の論理 紙人形の唇蹴れ 胃酸過多の都市裂けろ ひび割れた私の歩く余白には 私を 限りなく 私へ導く強みがある その一点が 私の踏みだす意志の形 物質が消す 空中楼閣の夢
文芸季刊誌「歩行 第一号」(昭和四十九年刊)

昔、27歳の時に書いた詩が甦って、読者の方々に、衝撃を与えている。
「これ以上の詩を読んだことがありません」「霧箱は、ひとつの暗号です」「メタファー極致です」「(言葉)の向う側の(コトバ)です」(読者の声)

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• 金曜日, 4月 09th, 2021

色紙で千羽鶴を折るように あらゆる言葉を折り込んで 不可視のコトバに至れ(声)
ニンゲンに 一体 何ができる?
今日もコズミック・ダンスを踊っている
朝の光の中で 趺座をかいて 大きく鼻から息を吸って 細く長くゆっくりと口から息を吐く 呼吸そのものになって ココロと記憶と意識の一番深い井戸の底へ
時間が爆発した
空間が爆発した
意識が爆発した
コトバが爆発した
気がつくと 朝と昼と夜がめぐる 見知らぬ場所に 突然 放り出されていた
一即無限の(私)がいた(数の魔)

青空に夥しい光の独楽が廻っていた
歩くと 空は垂直になり 蓮華畑に横たわると 水平になっていた (私)は突然 光の独楽になっていた
もう もとの(私)には戻れない!!
発狂するほどの畏怖と恍惚がやってきた
かつて(私)は光だった(ファースト・スターの)
かつて(私)は波だった(重力の)
かつて(私)は風だった(ビック・バンの)
一即無限の宇宙であった(時間の魔)

それから? それから?何があった?
歩行者になった(極北へ)
思考者になった(一切知者の道へ)
労働者になった(額に汗して)
一即無限の世界があった(次元の魔)

ニンゲンに 一体 何が出来る?と呟きながら 気がつくと もう古稀 無常迅速
(私)は いつのまにか 宇宙の大合唱に参加していた 青い光の独楽となって廻っていた 無(私)になって 超(私)となって ただコズミック・ダンスを踊り続ける 不可視のコトバであった
(1月12日)

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