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• 水曜日, 11月 20th, 2019

(私)の書架に、哲学者・ジャック・デリタの大作『根源の彼方にーグラマトロジーについて』上・下巻(1977年初版)と『エクリチュールと差異』上・下巻(1976年初版)が並んでいる。
約半世紀ばかり前に出版された、超難解な哲学書である。20代の(私)が何を読みとり、何を読みとれなかったのか、もう、一切が霧の中である。30ヶ国語を自由に読み書きできた、天才哲学者・井筒俊彦が手を焼いた書物である。(私)ごときが、ジャック・デリタの思想を呑み込めた訳がない。
ミッシェル・フーコー(『狂気の歴史』)がジャック・デリタの師である。
ジル・ドルーズ(20世紀の最高の哲学者)と並ぶ思想家・ジャック・デリタ!!
(私)は、ジャック・デリタの論考よりもジル・ドルーズの論考に魅かれていた。

先日、偶然、ジャック・デリタの『プシュケー他なるものの発明Ⅱ』を購入した。久々に、新刊が翻訳された。
「いかに脱構築を受け継ぐか」と帯文に記されている、500ページの大部作品(8700円)(岩波書店)
本書には「前書きのための五十二のアフォリズム」と「不時のアフォリズム」が収録されている。
ジャック・デリタが、アフォリズムを書いていた!!
驚きであった。が、同時に、最後は、アフォリズムに挑戦するのは、当然である、と、納得した。

至高の文とは、アフォリズムだから。アフォリズムとは何か?
3400本のアフォリズムを書いてきた(私)は、ヒトに会うと、必ず「重田、アフォリズムって何だ?」と訊かれる。
眼に見えないもの、形姿。耳にとどかないもの、音声。鼻で嗅げないもの、匂い。舌で味わえないもの、味覚。身体で感じられないもの、感覚。意識で捉えられないもの、思考。
つまり、宇宙が無限に放射するコトバのことである。(私)は、そのように考えている。
哲学者、ジャック・デリタは、アフォリズムを、どのように考えていたのか?
「アフォリズムとは名である」
「裁断、決定、真実、予言、神託、宣告、(非システム)そして箴言・格言である」
アフォリズムは、「切断、分離、標記、境界・・・切り離す力」
「アフォリズムは、ソコにあっても、存在しない。そこに入ることも出ることもできない。つまり、はじまりも終りもない。基礎も目的も高低もなければ、内外もない」
どうであろうか?ジャック・デリタのアフォリズム考である。

ジャック・デリタさーん!!
あなたも、やはり、宇宙の中の無限の中の1として、コズミックダンスを踊っているのですね。
青い光の独楽として、意味も、無意味も、非意味も、無視して、ビッグ・バンの風に吹かれて、宇宙を浮遊する仲間の一人だったのですね。
ニンゲンとして、連帯の挨拶を送ります。至高の宇宙のコトバであるアフォリズム、受け継いで書き続けてみます。