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• 月曜日, 2月 22nd, 2010

1. 「海の家族」(土曜美術社出版販売刊) 中村純詩集
2. 「海の血族」(土曜美術社出版販売刊) ささきひろし詩集
3. 「メール症候群」(土曜美術社出版販売刊) 渡ひろこ詩集
4. 「一日一書」(新潮文庫刊) 石川九楊著
5. 「無量の光 上・下」(文芸春秋社刊) 親鸞聖人の生涯 津本陽著
6. 「武満徹−自らを語る」(青土社刊) 安芸光男聞き手
7. 「蕪村俳句集」(岩波文庫刊)
8. 「喪の日記」(みすず書房刊) ロラン・バルト著
9. 「学問のすすめ」(岩波文庫刊) 福沢諭吉著
10. 「福翁自伝」(岩波文庫刊) 福沢諭吉著
11. 「遠雷」(河出書房新社刊) 立松和平著(再読)

「零度のエクリチュール」という(知)を放って、記号の帝国を読み解いた、あの、時代の、最前線を歩いていた、ロラン・バルトの面影は、一切ない。「喪の日記」は、バルトの裸の声である。おそろしいほどの断絶である。(知と情)
切断された断面には、マモン(母)に恋いこがれて、二人の世界・生活を、老年になるまで守り通した男の、突然のマモンの死・不在に、嘆き、悲しみ、涙の日々をおくる、異様なロラン・バルトの姿がある。

まるで、幼児か、少年のように、おろおろして、心も空になり、「喪の日記」を綴る、この、正視に耐えぬ混乱は、いったい、どこから来るのか、あの、(知)の塊りを書き続けた、ロラン・バルトは、いったい、どこへ、姿を隠したのか。

母の子宮から、永遠に離れられない。マモンに、理想の女を見て、結婚もせず、二人の生活が、完全な宇宙であるかのように、生きてきた、そのセイカツの中から、フランスを、時代を、伐り開く、エクリチュールが生れたと、誰が、信じられるか、この分裂する男、禅経症に揺れる、老いた男に。

Category: 読書日記
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