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• 木曜日, 7月 28th, 2011

徳島県立海部高等学校 平成23年度開校記念日(7月15日)
10:00~11:30 ・質疑応答 於体育館(470名全校生、来客他)

私の母校の、海南高校という名前が消えた。卒業生としては、淋しい限りである。

四国も、正に、少子高齢化社会である。海南高校、宍喰商業、日和佐高校の3校が、合併して、新らしく、(海部高校)が誕生した。単純に計算すれば、若者の人口が3分の1になってしまったということだ。

校舎は、海南高校のあった場所を使用している。尋ねる私としてみれば、母校を訪問するみたいなものだが、(名前)が変わってしまうと、どうしても、異和が残る。まあ、その地域に住んでいる子供たちが生徒であるから、大きなちがいは、ないみたいなものである。

さて、講演会は、3校の卒業生が、毎年、替わるがわるに、招かれて、何か、お話をする、というふうになっているらしい。今年は、元海南高校の番らしい。

真夏日の体育館での90分の講演は暑くて、厳しい。しかし、生徒たちの、素直で、真面目で、礼儀正しい、挨拶と、キラキラ輝く眼の輝きに押されて、90分、話すことができた。

少子高齢化社会である。若者たちの仕事が困難な時代である。問題は山ほどある。そして、「3・11 東日本大震災・原発事故」後を、生き延びなければならない。現代という時代を語りながら、若者たちに、未来を、力強く生きぬくためのエールを送りたかった。

人間にできることは2つである。
①30億年続いた生命、身体をリレーすること。
②ニンゲンの創り出した文明、文化をリレーすること。(身体と精神のリレー)
みなさん、一人一人が、リレーランナーである、と。

16歳から24歳の若者は、その間に、”人生のほんとう”を発見してしまう。数学であれ、哲学であれ、生と死であれ、発明、発見の大半が、この年代に誕生する。あとは、応用問題である。正・誤に関しても、大常識に関しても、身につけてしまう。

ただ、とんでもない変革の時であるから、その多感さから、何が飛び出してくるか、わからない。私の今回のポイントは、その若者の、爆発力を生かす工夫、知恵である。

事は簡単である。いつもノオトを手離さないこと。新らしい発見、疑問、イメージ、(私)に来るすべてのモノをコトを、ノオトする習慣を身につけることである。

つまり、何気なく、見逃してしまう、ちょっとしたことが、実は、大変な発見の、答えかもしれないのだ。見るだけではダメ。見方を知ること。聴くだけではダメ。聴き方を知ること。悩むだけではダメ。悩みを考えること。

「ノオト」は、(私)の誕生の場である。(私)の発見の場である。百円くらいで買える、ノオト。どこへでも持っていけるノオト。見たもの、聴いたこと、触ったもの、五感に感じられる、すべてものを、ノオトに記しておくこと。もう、二度と、来ないかもしれない(思い)もノオトに記しておくこと、そこから、ふたたび、芽がでる。ノオトは、種子でもある。考える種子である。

「記録する」は、「記憶する」でもある。(私)とは何者が、ノオトが教えてくれる。決して、日記ではない。考えるノオトである。断片が、語りはじめる、いつか。

宇宙のこと、世界のこと、日本のこと、日々の人生のこと、(私)のいる場所、(私)が生きている状況、そんな大きな視点から(現実)のセイカツまで、いろいろと語らせてもらった。

講演後、四人の生徒と質疑応答。正しい質問は、正しい答えを得る。熱心に、聴いてくれて、ありがとう。

最後に、生徒の代表が、私の講演のまとめと、感想を語ってくれた。90分の長い話を、終ると、すぐに、まとめる力には、正直、驚いた。本当に、若い人たちの能力は無限に開かれている。

「人間、一生、勉強である!」でした。

「海陽町出身の作家 重田昇さん 母校で講演」 記事「徳島新聞」7月17日(日)

海陽町出身の作家・重田昇さん(64)=千葉県四街道市=の講演会が15日、母校の海部高校(同町大里)であり生徒ら約470人が聞き入った。
重田さんは「人間一生勉強である」と題し、読書の大切さや勉強方法について講演。高校時代、熱心に読書に取り組んだエピソードを紹介し「本の内容が難しくて理解できなくても、いつか分かるようになる。作品の内容を覚えるぐらい読み込んでほしい」と話した。
3年の前田優也君(18)は「読書は苦手だが毎月1冊読むことから始めたい」と話した。
講演会は、開校8周年記念行事で開いた。

Category: 対談・講演
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