昨日は牛を食った
今日は魚を食った
明日は鳥でも食べようか
ヒトはいつでも食っているから
豚肉はいけない
鯨肉もいけない
もちろん酒などとんでもない
麦もいけない
キノコもいけない
当然 血もだめである
最後まで歩をすすめてみると
水もいけない
空気もいけないとなる
恋人と交接した 人妻と交接した 姉と交接した 犬とも交接してみた 見えない
途轍もないものとも交接してみたが
小遣いをもらった
給料をもらった
配当ももらった
みかじめ料(・・・・・ )も受け取った
賄賂(わいろ)も当然もらった
遺産ももらった
他人の懐から財布までも
盗(もら)ってしまった
もう何ももらいたくない 一切不要だ
藁葺(わらぶき)の小屋に棲んでいた
下宿に棲んだ アパートにも
社宅へと引越をした
家を建てた
青テントに棲んだ
終には 墓に棲むことになった
御襁褓(おむつ)をはいていた
パンツもはいた
学生服を着た
背広に着替えた
カシミアのコートも手に入れた
最後の服は
経帷子(きょうかたびら)だった
村を歩いた(神社とお寺があった
町まで歩いた(学校がある)
都市へと歩いた(会社である)
空まで歩いた(宇宙の縁か?)
夢の中でも歩いてみた(私に酷似しているがまったく別の生きものを発見)
結局 いつまでも
私という不思議(・・・・・・・)を歩いているがそこは永久に迷宮だ( )
燐寸(マッチ)をすって焚火(たきび)をした
ローソクに火を点けた
裸電球の紐をひいた
火薬の、発火のスイッチを押した
原子爆弾を落として破裂させた
灰になるまで、私を 火で焼いてみた
見ていたのは いったい 誰だろう?
夜空には 百億 百兆の太陽が 星として煌めいているのに ひとつの銀河の
たったひとつの太陽の周りを廻りながら 緑色に輝く小さな惑星の方法(・・・・・)で飽きもせずに歩いている者がいる